「友情の痛みは恋愛の痛みより更につらい」
そう言った時、サン・ジョヴァンニは正しかった。
ヴァリーの数々の心ないふるまいも、決してイオーネの喪失ほど私を苦しめはしなかった。ヴァリーのもろもろの口から出まかせも、決してイオーネの沈黙ほど私を傷つけはしなかった。私は彼女の別れの言葉を聞き逃してしまったのである。
その人生の最後の数ヶ月間に、この無口な友の心に起こった出来事を、私は決して知ることはあるまい。彼女が何を悩んでいたのか、私は永遠に知るすべもなく、彼女の疑惑、彼女の躊躇、彼女の最後の会話の内容も、私にとっては不可解なままだろう。彼女は自分の秘密をあの世へ持って行ってしまった。私の愛は彼女にとって無縁のものと化した。私は彼女にとって、もはや思い出す値打ちもないような馬鹿者であり、わずらわしい『過去』なのだった。
とは言えこのような苦い感情は、この美しい死にざまを前にした時、たちどころに忘れられた。たとえ幻想からにせよ、たとえ妄想からにせよ、彼女は慰めを得て旅立ったのだ。彼女は『理性』を超越した『信仰』を持っていた。
「あの子は幸せに死んだのよ」私は涙ながらに自分に言い聞かせた。「それでいいじゃないの。あの子は幸せに死んだのよ」
イオーネよ、わが『慰めびと』よ、あなたの死後の無限、あなたの永生の夜明けを前にして、私はもう何も申しますまい。たとえ私にその力があったとしても、私はあなたを死者の国から呼び戻したりはしない。その眠りの至福の平安から引きずり出したりはしない。もし私があなたを妬むとすれば、あなたの安眠を妬みます。とは言え、この先何が起ころうと、私はあなたの思い出を失うまい、あなたの清らかでみずみずしい思い出を…イオーネ、私がこの世で出会ったいちばん優しいひとよ、私はあなたに最後のお別れを告げました。澄み切った水鏡の眠りを眠りなさい、あなたと同じような処女たちの魂とともに、その眠りを妨げる愛欲の記憶を持たない乙女たちの魂とともに…すやすやとお休みなさい、心うるおす『友情』であったあなたよ、あなた、幼かりし『愛』よ、恋以前の恋、恋人以上の恋人よ。
安らかに眠れ…アーメン…(第11章終わり)