魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「ど根性のうた」他一篇(一部押韻)

マクシム・フェーヴル「ランバル公妃の死」。ウィキメディア・コモンズより。

彼氏が欲しい

A子の彼氏
 B子の彼氏
 欲しい彼氏は
C子の彼氏
C子は天使
 彼氏は紳士
 彼の天使に
なりたい私

一途いちずなA子
 ぶれないB子
C子自慢の
 優しい彼は
今日も朝から
 見せびらかした
魅せられるほどいい男

 女殺しの貴公子は
った女を煮て食う猟師
今日も朝から
 東へ西へ
大忙しの ろくでなし
わらう口もと
 たらす釣り糸
釣った女は吊るすだけ

A子 不審死
 B子 異状死
C子 手がかりさらに無し
そんな彼氏に抱かれてみたい
 そんな私は死の天使

ど根性のうた

Ⅰ 街娼

きれいな花が咲いている
 甘い香りが呼んでいる
 街灯のないこの路上
この街娼はちと異常
どうしましたか お嬢さん
 こんな夜更けに恥部自慢
 きっといろいろある事情
だけどがんばるど根性
ひと目でわかるずぶの素人
 素肌さらしてまるで玄人くろうと
 君子ではないこのわたし
抱ける女はみな天使
君にとってもこれは賭け
 侮辱されても耐えるだけ
 あえて気丈に演出過剰
それが女のど根性

Ⅱ 聖少女

きれいな花が咲いている
 ふんを肥やしに生きている
 美女の肥やしは人糞じんぷん
堕天使たちの接吻だ
ふんにまみれて根が腐れ
 だから相場も値が崩れ
 ふんの栄養 パン以上
つちかう くさいど根性
神を愛する聖少女
 入りびたるのはこの便所
 馬鹿は死ななきゃ治らない
だから殺してかまわない
十字架上のご令嬢
 神々こうごうしさは神以上
 欲しい快感 絶頂以上
実はさもしいど根性

Ⅲ 不死身の怪物

きれいな花が咲いている
 真っ赤な舌を垂れている
 釣れた人魚を食っている
人形として売っている
少女を殺すこの少女
 それは美少女紹介所
 高嶺の花のビアン嬢
底値に値切るど根性
また犠牲者を呼んでいる
 世の宝石を食っている
 安値で買って 高値で売って
浮いたお金でうるおっている
死んで治ったお馬鹿は持病
 何度死んでも治らぬ奇病
 死ねば死ぬほど淫乱多情
それが魔性のど根性