さわやかな夏の明け方 二人して
目にしたものを覚えているかい
脇道を曲がったところ 散り敷いた小石の上の
腐乱死体を
毒汁が汗と流れる両足を
売女のごとく広げながら
毒ガスで膨れた腹を平然と 嘲るように
見せびらかして
太陽は照りつけていた この物体を
徹底的に料理しようと
偉大なる「自然」が組んだ一体を 百倍にして
返そうとして
晴天のもと さらけ出された満開の
花さながらの美々しい死体
悪臭は強烈すぎて 草むらに君はあやうく
ぶっ倒れかけた
蠅はその腐った腹の
上を飛び ぶんぶん唸り
幼虫の真っ黒な群れ 生きている襤褸をつたって
どろどろ流れ
一切は寄せては返す波のよう
ぱちぱち爆ぜて 光るを見れば
これはまだ息をしており 生きており 増殖中と
人は言うかも
そしてこの世界の音は音楽で
流れる水や吹く風のよう
それはまたリズムに乗って篩われる脱穀機中の
麦粒のよう
姿かたちは失われ 今はもう
ただのまぼろし――画家が画面に
不確かな記憶をもとに描いていた 描き上がらない
ただの下描き
岩陰に身をひそめつつ 雌犬が
怖い目をしてこちらをにらみ
死体から 食べ切れなかった肉片を取り返そうと
うかがっていた
だが君も いつかはこんな亡骸と
こんな汚物と化すことでしょう
わが目の星よ わが天性の太陽よ
わが天使 わが情熱よ
このようになることでしょう わが姫よ
弔いの儀式も終わり 咲く花と
草むらのかげに埋もれて 君が他の遺骨とともに
朽ち果てるとき
そのときは お嬢さん 君の体を口づけで
むしばむ虫に言っておやりよ
「私の詩人が はかない愛の 尊いかたちと中身とを
守ってくれた」と
*『悪の華』初版27。原文はこちら。