悪魔が今朝 俺が寝ている
屋根裏部屋へと押しかけてきて
ワナにかける気満々で
俺にたずねた「聞きたいんだが
あの女をあのような美女としている
ありとある素晴らしい要素のうちで
あの女の肉体を織りなしている
漆黒や淡紅の部品のうちで
何が一番甘美か」するとわが魂は
このように答えて嫌われ者を撃退した
「あの女においてはすべてが香草
一つだけ選ぶなど とてもできない
一切にわたくしは魅せられるから
どこにその真髄があるか知らない
『夜明け』のごとくまぶしい女性
慰めること『夜』のごとし
美しい肉体のすべてを統べる
ハーモニー全体が絶妙すぎて
『分析』は数知れぬ和音を吟味
記譜せんと努めるも能力が足りぬ
もろもろの感覚が一つとなって
さまざまに変化するこの不思議さよ
その呼気は音楽を鳴り響かせて
その声は薫香をくゆらせるのだ」
*『悪の華』初版36。原文はこちら。