魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

『富江ーアンリミテッド』

二人の美少女。実の姉妹。ともに高校生。外見上は仲のいい姉妹だが、内面的には互いに確執を抱えている。
ある日、妹の目の前で姉が事故に遭い、即死する。そのむごたらしい死に様を何度も夢に見て、妹はうなされる。
それから一年経って、両親は死んだ長女のお誕生日のお祝いをする。生きていれば18才になっていたはずである。バースデーケーキが用意され、18本のろうそくに火がともされ、長女に代わって次女が吹き消すと、両親は手を打って喜ぶ。
これはかなり異様な光景でした。どんなに可愛い娘だったか知らないが、普通そこまでするか?それともうひとつ、視聴者にわかりやすく示されるのは、この両親が死んだ長女に激しく執着しながら、現に生きている次女にはあまり関心がないらしい、と言う点です。
ところがその時ピンポンとチャイムが鳴って、死んだはずの長女が「ただいま」と帰ってくる。次女は驚き怪しむが、両親は長女のからだにすがりつき、涙を流して喜ぶ。
しかしこの長女、どうも様子がおかしい。以前の親思いの優しい長女とは打って変わって、横柄で、わがままで、自分勝手になっている。これは怪談ネタとしてよくありますね。姿かたちは同じだが、中身がすりかわっているわけです。「お腹がすいた」というので食事を用意すると「こんなものは食べられない。フォアグラが食べたい、キャビアが食べたい」などと言い出す。「フォアグラ、キャビア、フォアグラ、キャビア」とこの美少女が連呼しながらテーブルをがんがん叩くシーンは、なかなか巧妙な演技&演出で、印象に残りました。
ところがおかしいのは長女だけではない。親が子供に対して妙に低姿勢に、卑屈になっている。要するにせっかく帰ってきてくれたんだから、また出て行かれてはかなわない、というところでしょうか。長女が持ち出すどんな理不尽な要求でも飲もうとする。
こうしてさんざん家族を振り回した挙句、長女は「つまらないから出て行く」という。勝手に親の財布を探って現金を鷲づかみにすると「これでいいわ、さよなら」。ところがふたたびわが子を失う悲しみに絶望したお父さんは、思い余って長女をめった刺しにしてしまう。それからこの心優しいお父さんとお母さんは、力を合わせて、あれほど愛していた娘のなきがらを風呂場でずたずたに切断し、明くる日からは何事もなかったかのように平穏な日々を過ごそうとする…
あの、私思うんですが、もちろんこういう話を好むか好まないかは個人の趣味の問題だと思いますが、好むと好まざるとにかかわらず、こういう事件、いやこれよりももっと戦慄すべき事件が日常茶飯事のように繰り返されている、という現実を、われわれは忘れてはならないと思います。
以上が『富江ーアンリミテッド』(2011年)の前半のストーリーです。記憶に頼って書いているので、多少不正確な点が混じっているかも知れませんが…で、後半は話がさらにエスカレートしていくのですが、今は映画評をするつもりはないので省きます。
この『富江』というB級ホラー映画シリーズ、聞いたことはありましたが、実際に映像を視聴したのははじめてで、あまりに興味深いので驚き、4作立て続けに観ました。今のところ全部で8作出ているそうで、出来れば全作観たいところですが、それは無理かも。もっともこの『富江』シリーズのどこが面白いんだ?と訊かれると、返答に窮する面もありますが、何かしら私の感性にしっくり来るところがあり、新しい友だちが出来たように喜んでおります。

もう1作ご紹介しておきましょう。以下は『富江ービギンニング』(2005年)という作品のあらすじです。地方の男女共学の高校に、ある日、富江という名の少女が転校してくる。この少女、大変な美貌の持ち主で、クラスの男子たちに絶大な人気を博する一方、女子たちに恨まれ、「いじめ」の被害に会う。しかしやがて男たち(クラスの男子tたちだけでなく、担任教諭も含めて)を完全に支配下に置いた彼女は、「いじめ」を制するに輪をかけた「いじめ」をもってし、以後彼女に逆らうものはいなくなる。
しかし富江の天下は長くは続かなかった。ある日、一人の男子生徒が彼女を学校の裏山から突き落とす。そして彼女はそのまま山中で、担任やクラスメイトたちに見守られながら息を引き取る。誰も警察に通報しないし、手を下した生徒を責める者もいない。富江は今やクラス全員の憎悪の的であり、「死んで当然」の奴なのだった。そして担任の指導のもと、38人の生徒たちは、この美しいクラスメイトのなきがらを38個の肉塊に解体し、それぞれの責任において廃棄処分する。こうすれば誰一人として怪しまれず、誰一人として罪に問われることもないだろう…これも何だか実際にありそうな話で、そのリアルな部分に戦慄させられます。