魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「少女の正体」(一部押韻)

エドガー・ドガ「室内」または「強姦」。ウィキメディア・コモンズより。

見せてくれない少女は魅せる
 隠すからこそ
魅せられるのだ
見せてもらって
 写真に撮ろう
 店をひらいて
見せびらかそう
固く閉ざした扉をひらけ
 あまりに甘い鍵穴だらけ
じっと観察
 そっと盗撮
すべてカメラに収めて逃げた
 あんな狂態 こんな醜態
それが少女の正体なのだ

微笑ほほえんでいる少女は魅せる
 笑うからこそ
魅せられるのだ
にこにこ笑う
 この世の宝
 げらげら笑う
淫らなからだ
少女はどこだ
 ベッドの上だ
 大胆だから
抱いたんだ
落ちるおじさん
 たちまち破産
すべてカメラに収めて売った
 天使 ペテン師 おじさん殺し
それが少女の正体なのだ

何も言わない少女は魅せる
 黙るからこそ
魅せられるのだ
いつもお前は
 笑顔で隠す
 涼しい顔で
素顔を隠す
俺の性器はでしゃばりだ
 なのにお前はだんまりだ 
 俺とお前は公認の仲
見たいお前の封印の中
こっちを向いて
 胸むき出して
腹のうちまで見せびらかせと
腹を割ったら
 はらわたが出た
 こっち向けたら
白目をむいた
首がころがる 手足がもげる
 すべてカメラに収めて埋めた
 見るも無残なバラバラ死体
それが少女の正体なのだ

死んでしまった少女は魅せる
 死んだからこそ
魅せられるのだ
今日は彼女の墓参り
 川のほとりは花盛り
 地下に隠した彼女の死体
そのまごころは知るすべもない
「死にたくない」の一言ひとこともなく
 死んだ君なら落ちない地獄
 雄弁は銀 沈黙は金
この沈黙の価値は千金
金貨銀貨が百花繚乱
 すべてカメラに収めて泣いた
 吸血鬼並み 不死身の女神
それが少女の正体なのだ