魔性の血

拙訳『吸血鬼カーミラ』は公開を終了しました。

ケイト・ブッシュ信者たちの活動状況について

2016年、メルボルンで開催された「嵐が丘の日」の様子。ウィキメディア・コモンズより。

嵐が丘の日(The Most Wuthering Heights Day Ever)」

毎年今頃になると、欧米各地で行われる恒例の野外イベント「嵐が丘の日(The Most Wuthering Heights Day Ever)」。ここ二年ほどはコロナの影響で鳴りをひそめていたようですが、今年は2022年7月30日の土曜日、ケイト・ブッシュの誕生日に合わせて大々的に行うところが多いらしい(すでに実施済みの国もあり)。
下は2019年7月、イングランドの港町フォークストーンでの映像。


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楽しそうですね。何となく、怪しげな新興宗教の集団儀式のようにも見受けられますが…もっとも、これは別にケイト・ブッシュ本人が「教祖」として関わっているわけではない。本人は(最近のインタビューによれば)家にこもってもっぱら「ガーデニング」にいそしんでいるそうな。
今ちょっとこの催しの「起源」について調べてみると、何でもイギリスの「シャムブッシュ(Shambush)」というパフォーマンス集団が2013年にイギリスのブライトンで開催した「究極のケイト・ブッシュ体験(The Ultimate Kate Bush Experience)」というイベントが事の始まりらしい。下はそのオリジナル映像。


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この映像がYouTubeを通して世界に広まり、このイベントの趣旨に賛同した各国のケイト・ブッシュ信者たちがこれに反応して、2016年ごろから世界規模のイベントになった。英語版ウィキペディアによれば、コロナ禍前の2019年にはイギリス、アイルランドアメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、ベルギー、フランス、スウェーデンフィンランドデンマークノルウェイ、およびイスラエルのもろもろの都市で開催されたということです。
「参加要領」はそれぞれの国や地域によって異なりますが、だいたい以下の点は共通している。

  • 年齢・性別は不問
  • 赤い服(必ずしもワンピースでなくてもいいらしい)を着て
  • ケイト・ブッシュになったつもりで踊ること(ダンスの巧拙は問わない)

野外イベントなので、雨天の場合は延期になるのだろうと思いますが、動画を見ていると、小雨の場合は決行しているみたいです。
お手本は「レッド・ドレス・ヴァージョン」と呼ばれる下の公式プロモーション・ビデオ。


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まあ、観ている限りでは大変優雅なものですが、これを完全にコピーするのは専門家でも難しいらしい。上の「参加要領」の「ダンスの巧拙は問わない」とはそういう意味なので、ダンスが下手な人を不参加にすると、参加できる人がいなくなってしまうからです。
下は2017年7月、スウェーデンのウプサラでの映像。


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前半は「嵐が丘」に合わせて踊り、後半は「神秘の丘」に合わせて文字通り「丘を駆け上がる(Running Up That Hill)」という、体力的にハードなプログラムですが、まあ、ストレス解消にはなるでしょうね。

ケイト・ブッシュならではの「癒し」

「ストレス解消」と言えば、「ベビー・ブシュカ(Baby Bushka)」というアメリカのケイト・ブッシュ・トリビュート・バンドについて、こちらの記事で少し触れておりますが、ケイト・ブッシュと相性が悪いと言われるアメリカからこんなバンドが出てくること自体が驚きですが、このバンド、勇敢にもイギリス・ツアーを敢行している。言わばケイト・ブッシュ敵地アウェーから聖地ホームへと殴り込みをかけているわけです。
下はその「ベビー・ブシュカ」による「バブーシュカ」のカバー。2018年、グラスゴーのカフェ・バーでのステージ。


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このバンド、歌も踊りも演奏も非常に達者なのですが、何というか、プロのステージというよりも、女子校の文化祭の出し物のような素人っぽい雰囲気がある。おそらくこの点がこのバンドの最大の魅力なので、こういうステージはる方も観る方も大変な「ストレス解消」になるのではないかと想像します。
下は同じバンドによる「神秘の丘」のカバー。2018年、エディンバラのパブにて。


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他にもたとえば、先日『ドリーミング』を聞き直して思ったことですが、あの中の「オール・ザ・ラヴ」という曲(こちらの記事参照)は、暗い曲ですが、今の日本では「自殺願望」とか希死念慮とかいったものに悩まされている人も多いかと存じますが、そうした人の心には、明るく前向きな曲よりも、こうした暗い曲の方が「癒し」として効くのではないでしょうか。こんな曲が書ける人は、本当にケイト・ブッシュしかいません。
7月30日、全世界的に晴れるといいですね。