魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

「魔性の血」ほか三篇

料理部の部長

料理部の部長みずから
 料理した下級生 それはAですか Bですか
 わたしが好きなのはC
だけど実際に抱いたのは大胆なD
思えばAは幸せ
 ビアンなBのフィアンセ
 料理部の部長の腕で
白いお皿に盛ってみたい それは美しいC

魔性の血

澄ました顔をするなかれ
 耳を澄ましてほしいだけ
 真犯人は誰かしら
あなた以外にいるかしら

殺されたのはA子さん
 文芸部では最古参
 校舎のうらの草むらで
夕陽を浴びて死んでいた
そのなきがらは 今もなお
 寮のベッドに横たわり
 寝返り打って くしゃみして
いびきをかいているという

わたしが暮らすこのクラス
 秘密だらけの花畑
 紋白蝶に揚羽蝶
時にわたしは委員長
美貌の少女 B子さん
 天使のようなC子さん
 大事にしたいD子さん
いつもいい子のE子さん
澄ました顔をするなかれ
 耳を澄ましてほしいだけ
 耳に入れたいこの話
入れたら 耳が痛いかも

他人の胸をさわるより
 自分の胸に手をあてて
 耳が痛くはないかしら
それとも 耳が遠いのか
真犯人は誰なのか
 誰がA子を殺ったのか
 その首筋に いつまでも
消えない傷をつけたのか

真犯人はC子さん
 そう言ったのはB子さん
 男 男と言いながら
実は女を食っていた
 証拠はあるの
 証拠はこれよ
いきなり脱いで見せる馬鹿
 見てもいいわよ身体中
 見てもいいけど授業中
みんな注目 キスマーク
 今日の教師もまた狂死

真犯人はC子さん
 そう言ったのはD子さん
 きれいな手口 きれいな死
それが彼女の殺し方
そしてわたしはお嫁さん
 しかももうすぐお母さん
 お腹の中に子供さん
その父親はC子さん
そこまで言ったD子さん
 校舎の窓を開け放ち
 校舎のうらへ飛び降りて
真っ赤な花がまた咲いた…

開け放たれた窓辺から
 下を見ているわたしたち
 紋白蝶に揚羽蝶
時にわたしは委員長
未来はとても甘いから
 お花畑は蜜だらけ
 手と手を結ぶむすめたち
触れ合っている花と花
澄ました顔をするなかれ
 耳を澄ましてほしいだけ
 真犯人は誰かしら
それはわたし と風が言う…

流れているわ 姉妹たち
流れているわ 姉妹たち
 それは誰の血
 D子の血
たぶん駄目だわ あきらめて
そんな馬鹿なとB子さん
 信じられぬとC子さん
 開け放たれた窓辺から
D子 D子と呼ぶE子
草のかげから現れて
 大丈夫よとD子さん
 無論狂言 お騒がせ
魅せる芝居を見せただけ

馬鹿馬鹿馬鹿とB子さん
 信じていたとC子さん
 白い両手で抱きしめて
いい子 いい子とE子さん
今日も誰かの赤い血が
 流れているに違いない
 流れているに違いない
むすめを結ぶ魔性の血

魔女を食うのは命がけ

処女を食うのは少女だけ
 魔女を食うのは命がけ
 紋白蝶に揚羽蝶
時にわたしは委員長
舐められているA子さん
 食い荒らされたB子さん
 その涼しげなまなざしで
みんなを殺すC子さん
その涼しげなまなざしで
 映画女優も食うという
 君は美貌の吸血鬼
明眸皓歯 不老不死
女は食うか食われるか
 魔女を食うのは命がけ
「あなたも食べて 委員長」
寮長さんがそう言った

海のほとりへ行くという

海のほとりへ行くという
 あなたについて出かけよう
 ひまだ ひまだと繰り返し
変なむすめと呼ばれよう
海のほとりにたたずんだ
 あなたはとても美しい
 好きだ 好きだと繰り返し
その手で そっと抱かれよう
すでに永眠 A子さん
 美人薄命 B子さん
 不老不死でも C子さん
死相が出たと嬉しそう
魔性と呼んでいい少女
 毒牙にかけて 委員長
 今日のお昼はこのわたし
うぶなむすめをすすめたい