この楽曲のオリジナルは、ザ・ジェイネッツ(The Jaynetts)というアメリカのコーラス・グループが、1963年にリリースしたものだそうです。ちなみに上の「薔薇の小径のサリー」という日本語のタイトルは、私が今ふと(便宜上)思いついたもので、原題は直訳すると「サリー、薔薇の周りを巡りなさい」となるようです。横山光輝の「魔法使いサリー」(1966年)と混同されないようお願いします。
下がそのオリジナル。
私は知らなかったのですが、この曲は当時アメリカで大ヒットして、ビルボードホット100の二位を記録し、それ以降多くのアーティストがこれをカバーしている。YouTubeで検索すると、ほんとにいっぱい出てきます。とはいえ今のところ、日本人アーティストがこれをカバーした形跡はありません。
下はイギリスのフォークバンド、ペンタングル(Pentangle)によるカバー(1970年)。
私がこの楽曲を初めて知ったのは、今から四十数年前、このペンタングルの『バスケット・オブ・ライト(Basket of Light)』(1969年)というアルバムを通じてです。まあ、この『バスケット・オブ・ライト』というアルバム自体が、名曲ぞろいの名盤に間違いないわけですが、中でもこの「薔薇の小径のサリー」という曲の妖しい魅力は、当時の私を夢中にさせずにはおきませんでした。
今「妖しい魅力」と書きましたが、この曲の魅力の大部分が、この曲の歌詞の内容――よく言えば「神秘的」、悪く言えば少し「薄気味悪い」歌詞の内容――に負うていることは誰しも否定できないところでしょう。事実、英語版ウィキペディアを繙きますと、この曲の歌詞の暗示するところとして「薬物使用」「望まざる妊娠」「狂気」「自殺」「レズビアニズム」といった不穏な単語がずらりと並びます。下にご参考までに拙訳を掲載します。ちなみに原詩はこちらのサイトあたりをご参照ください。
サリー 薔薇の小径へおいで
(サリー 薔薇の小径へおいで)
サリー 薔薇の小径へおいで
(おいで きれいな薔薇の小径へ)
薔薇はあなたを傷つけないわ
(薔薇はあなたを傷つけないわ)
そうよ 薔薇はあなたを傷つけたりはしないわ
駄目よ サリー
街に出かけないで
駄目よ サリー
街に出かけないで
あなたの彼氏が
他の女と一緒にいるところを見るのはとてもつらいわ
サリー 薔薇の小径へおいで
(サリー 薔薇の小径へおいで)
サリー 薔薇の小径へおいで
(おいで きれいな薔薇の小径へ)
薔薇は秘密を漏らさないわ
(薔薇は秘密を漏らさないわ)
そうよ 薔薇は秘密を漏らしたりはしないわ
お泣きなさい サリー
髪を振り乱して
お泣きなさい サリー
髪を振り乱して
咲き乱れた薔薇のもとに座り込んで
声を上げて泣いているだけで 薔薇はわかってくれるわ…