魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「魔女裁判」他四篇

「魔女の審理」ジュール・ミシュレ著『魔女』(1911年版)の挿絵。描いたのは春画家のマルティン・ファン・メーレ。ウィキメディア・コモンズより。

魔女裁判

病める少女を
 お金で援助
 たった二枚で
したい放題
和姦強姦
 責め折檻
 痴態醜態
見たい放題
「少女よ 君は魔少女だ
  君の痴情は異常だからだ
  売ればうるおう淫婦いんぷの陰部
 最高刑に最適だ」

魔女裁判は大詰めだ
 傍聴席はすし詰めだ
被告の少女
 死を待つ妖女
断頭台は正面だ
ところが無罪放免だ
 原告側を拘束だ
 弱者を食って強者に売った
密告者への宣告だ
「だます男子は断罪すべし」
 断頭台に万歳だ

魔女狩り

魔性のものを狩りましょう
 美少女たちを狩りましょう
 こんな気持ちはひさしぶり
灰になるまで愛したい
真っ白なのは素肌だけ
 恥部は真っ赤な薔薇だらけ
 そんなあなたを狩りましょう
そんなあなたを見せしめに
昇天させてやりましょう
 火あぶりなんてひさしぶり
 見たいあなたの焼死体
灰になるまで愛したい

笑えるわ

笑えるわ いつも澄ましているひとが こんなありさま
 聖女とも呼ばれたむすめ そのうらでよい子をいじめ
 天使らの甘い生き血を吸っていた 実にふまじめ
このむすめ そんなあなたが昼間から ねえお姉さま
花びらを見せびらかしている姿 とってもぶざま
 人として耐えたい痛み 人としてつけたいけじめ
 鞭打たれ 引き回されている様子 とってもみじめ
それでいて常と変わらぬ澄まし顔 まるで神さま

教会の魅せる魔女狩り そのかげでむさぼる暴利
 十字架に少女をつけるこの趣向 実に風流
ともどもにその花びらを愛でるなら すなわち視姦
こもごもにその花びらを散らすなら それは輪姦
 焼くもよし 煮て食うもよし お好みのメニューで料理
あこがれの上級生と下級生 夢の交流

魔女狩りの日

何ひとつ 罪を犯していなくても 処刑されたい
 殉教がしたい少女はお待ちかね 今日は魔女狩り
 聖女ならすべてはりつけ 妖女ならすべて火あぶり
聖と俗 善と悪とは同じもの 表裏一体
今日だけは いつもいい子のふりをやめ さらす醜態
 聴こえない声を「聴いた」といつわって 聖女を気取り
 食えぬ子を「食って捨てた」といつわって 悪い子のふり
弁護士は何も言うまい 容疑者ははやく死にたい

聞く者を震撼させる罪状を すべて白状
 夜遊びの蛇の交尾で身ごもった あの子は無罪
神の子を 処女ではらんだ大罪で 死ぬのはわたし
万人の目にさらされたこのからだ ついに炎上
 きむすめの証明としてあばかれる恥部に万歳
潔白で生き抜くよりも 罪を着て死ぬ方がまし

聖処女

十字架にかけて見せびらかしている 立派な裸体
 教会の責め折檻や拷問で 吐いた女子たち
 口を割り 犯した罪をしたたらす 赤き舌たち
アメをなめ 鞭で打たれた美女たちが さらす醜態
ただ一人 口を割らないこの少女 神と合体
 草むらのかげに捨てられ 幸せを知らぬ生い立ち
 あの世での明日あすを夢みる枕頭ちんとうに 神がり立ち
天界の香気を吸って 瓦斯ガス体の精子で受胎

魔女ならばすべて火あぶり 巫女ふじょならばすべてはりつけ
 教会は妖女を排除 害虫をことごとく駆除
ただ一人 口を割らないこの少女 ゆゆしき事態
アメをなめ 鞭打たれても割らぬなら 叩き割るだけ
 げらげらと笑うからだが店びらき これが聖処女
天球をはらんだ子宮 天体をはぐくむ母胎