魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「ダイヤモンドを抱いた夜」他二篇(一部押韻)

落とし物

photo-ac.comより。

何だこの
 落とし物
世界に一つだけの歯だ
あの素晴らしい歯ブラシが
 磨きをかけたやばい歯だ
 噛むためだけに がむしゃらに
だから神にも嚙みついた
磨き抜かれて
 引っこ抜かれて
 虫に食われた
痛い歯だ
残念無念 痛恨だ
 男子の価値は男根だ
 むすめよ 愛は痛いのだ
だから唾液は甘いのだ

何だこの
 落とし物
世界に一つだけの鼻
穴から何を垂らすのだ
 猛毒入りの鼻水だ
鼻水を
 何だかんだで
んだのだ
鼻をむなら紙で
 神に噛みつけ 神拝め
今さら遅い 臨終だ
 刺しつ刺されつ 心中だ
 むすめよ 愛は拷問だ
みんな唾液の奴隷だからだ

ダイヤモンドを抱いた夜

publicdomainq.netより。

ダイヤモンドを抱きたいよ
きれいな星が欲しかった
ルビー サファイア エメラルド
指を飾ってみたかった

宝石店は魅せる店
KISSと奇声に満ちた店
わたしの星を置き忘れ
紅い涙を流す日々

ルビー サファイア エメラルド
夢は夜空を駆けめぐる
指と指とが結ばれる
ダイヤモンドを抱いている

恋に落ちたら

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publicdomainq.netより。

恋に落ちたら
 別れるわたし
切れてきれいになるわたし
切れば切るほどきれいになると
 銀のナイフをふりかざす

恋に落ちたら
 Aとは別れ
Bとも切れるこのわたし
優しいCはわたしの天使
 余命三日を切りました

優しいCと
 恋に落ちたら
Cひとすじのこのわたし
Cを探してさまようあいだ
 Aは花屋で待ちぼうけ

優しいCを
 見失ったら
死ぬに死ねないこのわたし
さまようあいだ
 美貌のBは
校舎のうらで待ちぼうけ

花に埋もれて
 Aは永眠
そっと十字を切るわたし
それは十時の
 校舎のうらで
美貌のBを刺すわたし
刺せば刺すほどさっぱりすると
 銀のナイフをふりおろす

Aを落として
 Bとも堕ちて
まるで魔性のこのわたし
優しいCはわたしの天使
 こんなわたしを癒やしてくれる
きれいな霊にしてくれる

余命数秒
 そろそろ寿命
銀のナイフが突き刺さる
「死んでしまって姉妹になろう」
優しいCは不老不死

恋に落ちたら死 死 死…