魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

「わたしの彼は死刑囚」他一篇(一部押韻)

ヨーゼフ・フェイ(Joseph Fay)「死刑囚房にグレートヒェンをたずねるファウストメフィストフェレス」。ウィキメディア・コモンズより。

彼氏が欲しい

A子の彼氏
 B子の彼氏
 欲しい彼氏は
C子の彼氏
C子は天使
 彼氏は紳士
 彼の天使に
なりたい私

A子は戦士
 B子は剣士
 C子自慢の
優しい彼は
今日も朝から
 見せびらかした
魅せられるほどいい男

 女殺しの貴公子は
った女を煮て食う猟師
今日も朝から
 東へ西へ
大忙しの ひとでなし
わらう口もと
 たらす釣り糸
釣った女は吊るすだけ

A子 一刀
 B子 両断
C子 婚約破棄破談
そんな彼氏に抱かれてみたい
 そんな私は死の天使

わたしの彼は死刑囚

わたしの彼は死刑囚
 遺書で彼女を大募集
彼の彼女は性的便所
 だから聖母がふるって応募
そんな天使がこのわたし

わたしの彼氏
 優しい紳士
見目うるわしい好男子
実は堕天使サタンに奉仕
 女性蔑視のろくでなし
「遊女を抱けば散財だ
  少女を抱けば犯罪だ
 彼女を抱けば
  彼女の金で
 誰でも抱ける 万歳だ」
殺し文句は「命がけ」
 だけど本音は「遊ぶだけ」
押して引き出す彼女の援助
 女子の正気は彼には商機

どうして彼は死刑囚
 彼は少女を大募集
死にたい少女
 消えたい狂女
片っ端から皆殺し
「何度も死んだお嬢さん
 死に損なって大誤算
 わたくし 実は人殺し
 心優しい死の教師
 楽に死ぬなら毒でしょう
 皿まで食って死にましょう
 きっとなりたいきれいな死体
 叶わぬ夢を叶えたい」
この感心な「人助け」
 その本心は「金もうけ」
ならんだ死体
 さながら姉妹
写真に撮ってぼろもうけ
ただ淡々と殺すにあらず
 心優しい殺し屋ならず
「NO!」で目覚める性機能
強姦だから射精が可能
うらとおもてがうらはらでした
 二枚の舌がありました

釣って犯して
 吊るして捨てる
これぞまさしく鬼畜の所業
 慣れてしまえば単純作業
どこがどうして「人助け」
 何が何でも「したい」だけ
「死体にしたい」
「死体としたい」
これが野望の全貌だ
 彼は人形泥棒だ
彼にとっては彼女は便所
 女子の性器は彼には便器

そうよ わたしは死の天使
拘置所中に血痕だ
 これは獄中結婚だ」
そうよ わたしは獄死の天使
 神に代わってメッタ刺し