魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

BAND-MAIDの「Memorable」

2022年10月のボストン公演。日本語版ウィキペディアより。

自信過少

BAND-MAIDの新曲「Memorable」(2023年2月22日リリース)は、アメリカのファンたちに捧げられたバラードですね。あきれるほど素直で、わかりやすい歌です。


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これは驚くべきことであると同時に大変興味深いことですが、BAND-MAIDはわれわれから見て、当然持っていていいと思われる程度の自信を持っていないらしい。これはBAND-MAIDが先日前座を勤めたという例の「モンスターバンド」(?)のメンバーたちが、根拠不明の自信に満ちあふれているのと好対照だと思います。
BAND-MAIDの2022年のUSツアーのチケットは、確か全13公演のうち、追加となった1公演以外はすべて瞬く間に完売したと伝えられたように記憶します。それでも彼女たちは不安だった。かつてのメイドブームは一過性のもので、コロナ禍による冷却期間を過ぎた今は、客席にしらけムードが漂っとるのではなかろうか。そんな心配を本気でしていたのですね。それがフタを開けてみると以前にも勝る熱狂的な声援に迎えられて、「あーよかった!!ホッとした!!」という安堵感が、上の楽曲に遺憾なく表現されているわけです。
BAND-MAIDは今年結成10周年ということですが、上の曲を聴くと、その道のりは決して平坦ではなかったどころか、相当ひどい目に会ってきたらしいことがわかる。失望、落胆、挫折感、さようなものに繰り返し見舞われてきた。だからこそ変わらず自分たちを支持してくれるファンに対する感謝の気持ちが、このように、聴く者の胸にジーンと来るような切々たるトーンを帯びるのです。

試練は続く

BAND-MAIDはハードロック一辺倒のバンドではない。


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上の「サヨナキドリ」という曲は、CDにロックヴァージョンが収録されておりますが、このアコースティックヴァージョンの方が断然いいと私は思う。ちなみにこのヴォーカルの女の子のソロプロジェクトもなかなか良い。彼女はほんとにいいセンスをしています。
このような音楽的な間口の広さと質の高さとを正当に評価した上で、その価値にふさわしいリスペクトをファンは彼女たちに捧げているのであって、決してメイド服姿が可愛いから(もちろんそれもあるでしょうが)だけの理由で夢中になっているのではない。BAND-MAIDはもっと自信を持たないといけません。
とはいえ彼女たちの試練は今後も続きそうです。というか、今年(2023年)は彼女たちのキャリアにとって大きな山場となるかも知れません。来月(3月)から始まるBAND-MAIDの国内外のツアースケジュールというか、ドサまわりの日程を見ていると、ほんとに背筋が寒くなるほどハードで、早くも彼女たちの体調を危惧する声がちらほら出始めている。昨年のUSツアーの最終日、リードギターの女の子がぶっ倒れかけていたという情報は、すでに世界中のファンによって共有されているところです。メイドさんたちにはくれぐれもお体に気を付けていただきたい。世界征服もいいが、命あっての物種ですよ。