Ⅰ
あなたの賢愚に興味はないわ
綺麗でいなさい そして泣いていなさい
川の流れが景色をうるおすように
涙は顔立ちに華を添えるの
花々は大雨で若返るのよ
私は好きよ あなたのうつむいた顔から
よろこびの影が消えてゆくとき
あなたの心が恐怖の波に飲まれるとき
あなたの現在があなたの過去の
暗雲に覆われるとき
あなたのぱっちりした目から
血のように熱いものが流れ出るとき
私の腕が優しくあやしているにもかかわらず
あなたの重すぎる苦しみが いまわのきわの
喘ぎのように あなたの唇を衝いて出るとき
聖なる快楽よ 深遠にして
甘美なる讃美歌の歌声の流れよ
あなたの嗚咽を私は吸い込む
そうしてあなたの目がころがす真珠の球に
純情の輝きを知る
Ⅱ
私は知っている あなたの心が
根こそぎにされた昔の恋を吐き出しながら
まだ赤々と燃えていることを
あなたが地獄落ちを宣告された人々の
プライドを いささか胸に秘めていることを
とはいえ恋人よ あなたの夢が
地獄のありさまを反映しない限り
あなたが絶え間ない悪夢の中で
毒薬や剣を想って
火薬や鉄に恋い焦がれない限り
誰に対しても恐怖を感じながらドアをひらき
至るところに不吉な兆しを読み取り
時計が時を打つたびに痙攣を起こしながら
抗いがたい嫌われ者の
抱擁を感じない限り
「怖い」と「好き」とが一つのあなた
わが女奴隷にしてわが王妃よ
病的な夜の恐怖の中で 悲鳴でいっぱいの心で
このように言い放つことはできないのです
「王よ 二人はこれで対等」と