魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

(日本語訳)ボードレール「はたらく骸骨(Le Squelette laboureur)」

アンドレアス・ヴェサリウス著『ファブリカ』(1543年)の挿絵。ウィキメディア・コモンズより。

古代のミイラのごとくまどろむ
書物の死体がずらりとならぶ
川辺の古本売り場において
ちらほら見受けられる解剖図面のうちに

画題は悲しいものではあるが
昔の絵描えかきの 博学にして
真面目な筆致によって生まれた
数ある見事な素描のうちに

かくも神秘に満ちた恐怖を
より完全無欠なものとする作品
皮膚を剥がれた人体や骸骨たちによる
農夫のごとき耕作の図を見ることがある

あきらめきった下層民たち
君らはたがやすその大地から
君らのあらわになった背骨や
むきだしの筋肉による重労働から

墓場から駆り出された囚人たちよ
いかなる収穫物を手に入れるのか
いかなる農家の穀物倉を
一杯にしなければならないのだろうか

人の宿命さだめの ぞっとするほど
視覚化された この象徴よ
君らは説くのか 墓の中でも
安眠なんかできないのだと

「虚無」さえ僕らを裏切るのだと
「死」でさえ当てにはならないのだと
結局 僕らは死んだあとでも
やっぱり どこか知らない国で

頑固無情な大地の皮を
ひんかなければならないのだと
すりむけた素足で 重たいすき
打ち込まなければならないのだと


*『悪の華』第二版94。原文はこちら