
性的なプライバシーを守るため 夜が明けるまで
鎧戸を下ろしたままのあばら家がならぶ郊外
容赦ない朝の日ざしが 小麦畑の小麦にも
家々の屋根の上にも 熱線を降りそそぐころ
この僕は ひとり架空の剣術の稽古に励む
あらゆる隅に 韻を踏むチャンスを嗅いで歩いたり
舗石につまずくごとく 単語に足を取られたり
時には 長く夢に見た詩句と ばったり出会ったり
業病の天敵である 太陽という名の養父
何もない野原に詩句を花咲かせ 薔薇園とする
心配を蒸発させて 上空に雲散させて
蜂の巣や人の頭脳を 蜂蜜でいっぱいにする
松葉杖なしで歩けぬ人々を若返らせて
少女のごとくはつらつと それでいて優しくさせる
いつだって花咲く季節を待っている 老いを知らない
まごころが持つ作物をはぐくんで 実を結ばせる
太陽が詩人のごとく 都会へと降臨すれば
誰の目に価値なきものも 宝石となって輝く
太陽は王者のごとく訪れる ありとあらゆる
宮殿を 救貧院を 音もなく お供もなしに
*『悪の華』第二版87。原文はこちら。