蝸牛だらけの肥沃な土地に
みずからの手で深い穴を掘りたい
そうしてそこにゆったりとわが老骨を横たえて
深海に住む鮫のよう 世に忘られて眠りたい
私は遺書が嫌いだ 墓が嫌いだ
有象無象のひと粒の涙欲しさに死ぬよりも
死にもしないで 生きたまま鴉の群れを呼び寄せて
全身の全末端から悪血を捨ててしまいたい
おお蛆虫よ 目も耳も持たない黒いお友だち
御覧下さい 身勝手で浮かれた死者の参上を
活発な哲学者らよ 腐敗の子らよ
遠慮しないて廃屋と化したからだを踏み荒らし
死者にまじって死んでいる この魂の抜け殻に
この廃人に聞いて下さい「つらい事などもう無いよね?」と
*『悪の華』初版73。