
色あせた安楽椅子に 年増の高級娼婦たち
青ざめた顔 描いた眉毛 猫をかぶった危ない目
微笑みを見せびらかせば 骨っぽいその耳もとで
宝石と貴金属とが触れ合って さらさらと鳴る
テーブルの布は緑 周囲には唇のない顔
まったく色のない唇や 歯が一本もない顎や
不治の病にぶるぶると震える 細い指の先
すっからかんのポケットや 高鳴る胸を探ってる
煤で汚れた天井にならんだ 暗いシャンデリア
もっと明るいケンケ灯 これらの派手な輝きが
汗と涙の結晶のお金を磨りにやってきた
名高い詩人連中の 額のしわを照らし出す
これがある晩 この僕が睡眠中に見た絵画
わが心眼に まざまざと映じた暗い光景だ
夢の中には僕もいた この隠れ家の片隅の
壁にもたれて 冷ややかに 黙って そしてうらやんで
うらやんでいたのだ僕は 夢を捨てない人たちを
この絶望のどん底で 浮かれてはしゃぐ女子たちを
わが眼前の 熱狂に駆られる博徒全員を
名誉を賭ける名士たち 美貌を賭ける美女たちを
そして気づいてぞっとした 僕がうらやむ人たちは
血に飢えている奈落へと 自分の意志で飛び込んで
みずからの血に酔い痴れた挙句の果てに 死ぬよりも
苦しむことを 虚無よりも地獄を選ぶ人たちなのだと
*『悪の華』第二版96。原文はこちら。