
Ⅰ
たとえば青い空を離れて堕ちた
一つの観念 一つの形態 一つの存在
今はもう天界の目の届かない
三途の川のぬかるみの中
たとえば魔性の恋人に誘惑された
一人の天使 一人の無茶な旅人
巨大な悪夢の底に沈んで
泳ぎ手のごとく 身をもがきながら
一つの大渦潮にあらがっている
死に物狂いで抵抗している
狂人の声で歌をうたう
闇の中の高速自転と戦っている
たとえば一人の取り憑かれた困窮者
むなしく手探りをしている
蛇だらけの場所から逃れ出ようと
光と鍵を探して
たとえば一人の呪われびと ランプも持たず
穴のほとりを降りてゆく その穴の匂いは
手すりのない永遠の階段の
じめじめした末路を暴露する
そこではぬるぬるした怪物たちが目を光らせ
燐光を発するその巨眼は
真っ暗闇をより暗くするから
そのほかは何も見えない
たとえば水晶のわなのごとき
極海に監禁された船
いかなる恐怖の海峡によって
この牢獄に陥ったのかを探っている
ことごとく どうにもならない運命の
きれいな象徴 すばらしい絵画
八方塞がり だからとまどうばかり
悪魔の仕事はいつも完璧
Ⅱ
一点の曇りもない対面会話
鏡と化した心に向き合う心
暗くても見通しのいい真理の井戸に
ゆれる微かな星の光は
皮肉にかがやく地獄のかがり火
堕天使の恩寵に満ちた松明
たった一つの栄誉 たった一つの慰め
それは悪に染まっているという自覚だ!
