アホウドリ(L’Albatros)*1
ときおり 苦い深淵の上を はるかにすべりゆく
われわれを追う 船旅のいたずら好きな同行者
あの美しいアホウドリ あの巨大なる海鳥を
船乗りたちが生け捕りにしたのは 単に暇つぶし
ところが一度とらえられ 甲板上に置かれると
この青空の王者たち 見る影もない恥さらし
その大きくて白い羽根 だらりと垂れて 両脇に
引きずっているありさまは 実に惨めでかわいそう
この翼ある旅人は 何と間抜けで弱虫か
蒼天の姿とうらはらに 何とぶざまで滑稽か
パイプで嘴を突っついて 嘲り笑う者もいる
大飛行家の拙劣な歩行を真似る者もいる
この雲上の貴公子に詩人はまるでそっくりだ
嵐の空を行き来して 矢を射る者を笑うとも
ひとたび誹謗中傷の世に囚われの身となるや
大きな羽根が邪魔をして 歩くことさえままならぬ
ふくろう(Les Hiboux)*2
黒い一位の木の葉かげ 木の下闇に護られて
ふくろうたちが横並び 枝にとまって動かない
何か異国の宗教の神様ぶった貫禄で
赤い目玉をむきだして 考え事をされている
彼らはじっとしたままで ちっとも動かないだろう
斜めになった太陽が はるかかなたへ追いやられ
真っ暗闇がどっしりと大地に腰を落ち着ける
物悲しくも痛ましい時間が遂にせまるまで
この鳥たちは心ある者に教えを垂れている
この世において恐るべく 慎むべきはただ一つ
それはバタバタ動くこと そしてガタガタ騒ぐこと
通りすがりの幻に吸い寄せられる人間は
絶えず居場所をコロコロと変えようとした罰として
それ相応の痛い目に会って 必ず泣きを見る