魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「心を殺せ(新春のうた)」

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エンリケ・シモネ「心臓摘出」。ウィキメディア・コモンズより。

2025年1月1日朝、初詣に行った神社で、快晴の空のもと、お神楽を舞う若い巫女さんの姿を見て、心洗われる気がしたので、帰宅してから書いた詩です。お楽しみいただければ幸いです。

今日も来ました この医院
 それは心の美容院
 心を病んだこのわたし
年は二十四 ほぼ瀕死
いつもお高い処方薬
 からだで払うお約束
 心の医者のこのセリフ
心に刺さるこのナイフ
「命を絶ったこのむすめ
  死体となって三年目
  どうして今も未成仏
 どうして今も悩むうつ
 心を殺せ 薬物で
  よろこびに酔え 中毒で
  取りいだしたるこの薬
 ひと口飲めば舞い上がり
 白目をむいていい気持ち
  まっさかさまに地獄
  自分を殺せ もう一度 
 希望を持つな もう二度と」

今日も来ました この神社
 魔神をまつるこの大社たいしゃ
 われら美少女三姉妹
魔性を守るおまじない
神のお告げを受けるため
 われらぬかずく巫女の前
 生き神様のこのセリフ
心に刺さるこのナイフ
「心を殺せ 心臓で
  われを忘れよ 絶望で
  鬼があの世で呼んでいる
 手ぐすね引いて待っている
 底までちて引き返せ
  痛みで息を吹き返せ
  どん底からの這い上がり
 これそ転生てんしょう よみがえり
 同じ血を引く姉妹たち
  手に手を取って地獄
  今しばらくの辛抱だ
 心を殺せ 心臓だ」