魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

「化粧の厚い女の子」他三篇

悲恋

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(この画像はpakutaso.comさんからのもらいものです)

恋をするなら お姉さま
きれいな恋をしませんか
咲いてしまったわたしたち
二人の恋は悲恋です

咲いてしまったわたしたち
今が盛りの花と花
風のまにまに乱れ散る
何ときれいな恋でしょう

恋をしましょう お姉さま
風のまにまに散りましょう
咲いてしまった姉妹なら
情死するのは常識よ

星占い師と吸血鬼

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(この画像はgahag.comさんからのもらいものです)

このわたし
 占い師
人が迷路で出会う女子
人がわたしと出会うとき
 それは出口と出会うとき
星に明るいこのわたし
 明るい星をしるべとし
 男子の星と女子の星
星と星とを橋渡し
時にあなたは お客さま
 見目うるわしいお嬢さま
 およそ数奇な星のもと
大恋愛ができるひと
短命 それは美女の常
 罪とあやまち 積み重ね
 行方も知らぬ恋の道
あるいは落とすその命
落としても
 いいですか
 あなたは星になるのです
その輝きも永遠に

このわたし
 死の天使
人が最期に出会う女子
人がわたしと出会うとき
 それはさだめと出会うとき
年を取らないこのわたし
 姿かたちはまだ十四
 その正体は魔性の子
この首筋にその証拠
短命 それは美女の常
 十四十五は伸び盛り
 十七八は花盛り
二十過ぎればお年寄り
だけどわたしは若いから
 大恋愛がしたいから
 数かぎりない星よりも
一人の女子が欲しいから
だからあなたに会いに来た
 未来を見るというあなた
 噂にまして美しい
星占い師 心の師
うらないは
 いらないわ
 欲しいのは
あなただけ
占いなんて不確実
 必ず落とすこの果実
 落ちるりんごの物理学
それが恋愛心理学
落としても
 いいかしら
 あなたは不死になるのです
その輝きも永遠に

今日もご機嫌

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(この画像はphoto-ac.comさんからのもらいものです)

今日もご機嫌うるわしい
 見目うるわしいお姉さま
 そのほほえみは謎のまま
魔法のように美しい
私なんかと恋に落ち
 あなた幸せ 不幸せ
 ゆすりたかりの悪い癖
吸わずにおれぬその生き血
だってあなたは隙だらけ
 今日も奪った甘いキス
 咲いた真赤なアマリリス
あなたはいつも傷だらけ
なのにあなたは笑うだけ
 そのほほえみは謎のまま
 だから教えて お姉さま
こんな私が好きなわけ
「好きだから
  好きなだけ
  恋に落ちたら命がけ
 それがほんとの恋だから」

今日もあなたは上機嫌
 何千年も昔から
 地下に埋もれていた宝
それがすべての美の起源
美しいのはあなただけ
 その表情は美の宝庫
 わが正体は魔性の子
美しいのは見かけだけ
人の心は隙だらけ
 男女を問わず声をかけ
 からだで釣って落とすわけ
あとは骨までしゃぶるだけ
なのにあなたは笑うだけ
 そのほほえみは謎のまま
 だから教えて お姉さま
こんな私が好きなわけ
「好きだから
  好きなだけ
  あなたの愛が欲しいだけ
 それは宝の山だから」

化粧の厚い女の子

ひそかに慕うお姉さま
まこと まごころ 告げぬまま

紅い薔薇より白い百合
見つめられても知らぬふり

わたしは闇に咲くむすめ
いつも衣裳は黒ずくめ

こんなわたしの悪い趣味
あなたが示すその興味

すました顔が熱いから
顔が耳まで熱いから

紅い薔薇より白い百合
恋の病いは命取り

あなたを慕うこのわたし
実は畜生 ひとでなし

流れるものは魔性の血
流したいのはあなたの血

わたしは闇に咲くむすめ
いつも衣裳は黒ずくめ

街娼よりも濃い化粧
誰しもぞっとするでしょう

あなたが見せるその好意
腑に落ちかねるその真意

だから教えて お姉さま
まこと まごころ ありのまま

秋というのにこの陽気
だから癒えないこの病気

紅い薔薇より白い百合
恋の病いは命取り

黒い上着を脱ぎたいと
 言わせるものはこの陽気
 白い下着も脱ぎたいと
言わせるものはこの病気
わたしが口にする言葉
 それはほんとのわたしではなく
 病気が口にする言葉
病気が人のからだを借りて
 わたしではなくみずからの
飢えや渇きを癒そうとする
心を持たぬこのわたし
 恋愛なんて暇つぶし
 十八番の色仕掛け
実は生き血が欲しいだけ
見た目は陰気 根は陽気
 だから癒えないこの病気
 紅い薔薇より白い百合
恋の病いは命取り

うしろを向いているわたし
わたしではないこのわたし

見つめられても知らぬふり
舌なめずりをするばかり

何も知らないお姉さま
知らないことも知らぬまま

さすが見上げた心がけ
こんなわたしに声をかけ

「けがれを知らぬこのむすめ
 いつも衣裳は黒ずくめ

「虚飾のかげのこの美貌
 素顔はまるで赤ん坊

「夜空に咲いたこの女性
 一等星の下級生

「その行ないをあらためて
 このわたくしと結ばれて

「かけがえのない友として
 まこと まごころ 心して」

うしろを向いているわたし
わたしではないこのわたし

あなたが来ると押し黙り
あなたが去るとふりかえり

誰が呼んでも知らぬふり
花の姿を追うばかり

すました顔が熱いから
顔が耳まで熱いから

紅い薔薇より白い百合
恋の病いは命取り