魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

(日本語訳)ボードレール「この詩を君に捧げる…(Je te donne ces vers…)」

ジャンヌ・デュヴァル。ボードレール自身によるデッサン。ウィキメディア・コモンズより。

このうたを君に捧げる――願わくは もしもわが名が
北風の 強い助けに恵まれた帆船はんせんのよう
はるかなるのちの時代へ 天運によって漂着
人々の思考をある 夢想へと誘うとすれば

不確かな寓話のような 在りし日の君の姿が
古楽器のごとき響きで 読む者をませながらも
わがうたの貴族的なる脚韻に繋ぎ止められ
友愛の不思議な縁で結ばれて 残るようにと

底知れぬ地下の闇より 天空の高みにかけて
僕以外 誰も応える存在もののない 呪われし存在もの
君は今 跡形もなく消えてゆく影さながらに

辛辣しんらつに君を裁いた凡庸な俗人どもを
澄んだ目と 軽い素足で踏みつけて 見下みくだしている
黒玉こくぎょくの目と 青銅の顔を持つ 天使の像よ


*『悪の華』第二版39。原文はこちら