太陽が人の裸身をよろこんで黄金の色に
染めていた そんな時代の回想が私は好きだ
その頃は男子も女子も身が軽く 心も軽く
正直に 思いわずらうこともなく生を楽しみ
晴れ渡る空は彼らを背後から愛撫しながら
高貴なるその肉体の健康を錬磨していた
豊穣で多産であったその頃の母なる大地
この神は 人間たちを重荷とはしないどころか
わが子らを分け隔てなく可愛がる雌の狼
褐色の乳頭部より 惜しみなく乳を与えた
男子らは力持ちだが美しく 姿優しく
みずからを王様と呼ぶ女子たちを誇るに足りた
女子たちもまた瑕瑾なく 汚点なきフルーツであり
なめらかで締まった肉は甘噛みを欲しがっていた
現代の詩人が 今の人々の一糸まとわぬ
赤裸々な姿をとくと眺め得る場所に出向いて
人体の天然自然の壮観を愛でんとすると
男子らは幼少期より 仮借なき「実利」の神が
ブロンズの「おしめ」をもって育んだ結果としての――
女子たちは酒色によって太らされ 食い荒らされて
キャンドルのごとく蕩けて色褪せた結果としての――
処女たちはその血のうちに 子作りという悪徳と
繁殖の恐怖すべてを受け継いだ結果としての――
着る物を欲しがっている 化け物でしかない奇態
仮面にも劣る顔面 顔の名に値せぬ顔
貧弱な 細い胴体 太鼓腹 たるんだ肉の
醜さとおぞましさとに満ちみちた絵を前にして
魂が凍てつくような幻滅に包み込まれる
このような時代に生きるわれわれといえども 実は
古人らが知らなかったであろう美を知っている
精神の重い病にむしばまれ やつれた顔の
憔悴の美とでも人は呼ぶだろう そのような美だ
さりながら 遅れ馳せなるミューズらのこの発明も
妨げることはできない われわれの病める血筋が
深甚なる讃美の念を 青春に捧げることを
神聖な青春 それは純朴と優しい額
流れゆく清水のごとく澄み切った 明るい瞳
晴れ渡る大空のよう 花々や鳥たちのよう
歌声や 甘い香りや 暖かい日ざしによって
時代など物ともせずに 一切を飾ってくれる
*『悪の華』5。原文はこちら。