魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

岩井三四二『家康の遠き道』

岩井三四二『家康の遠き道』表紙

天一笑さんからレビューをいただきましたので掲載します。一天一笑さん、いつもありがとうございます。


岩井三四二『家康の遠き道』(光文社)を読んで。
この時代小説の舞台は1616年頃、徳川家康が、征夷大将軍位を次男秀忠に譲った頃、即ち徳川幕府が創成期から守成期に移動する頃、家康の最晩年にスポットライトを当てた岩井三四二の力作です。
読了して長い間の疑問が解けました。何故関ヶ原の戦の折、平然と忠臣・鳥居元忠伏見城留守居役を命じたのか?(戦力差から討死は必至)
家康はサイコパスだった。その傾向が強い人物だった。
つまり、他者への共感性が乏しい、人の心の痛みを感じない人物像が浮かんできます。
自分の最期を、十五人(?)いる側室の誰に看取らせるのかを悩む家康には苦笑せざるを得ませんが(最後は神様として祀られる)。
人間の頭脳の仕組み、徳川幕府の創成期のドタバタに興味のある方、そして家康の適材適所の人材配置に興味のある方にお薦めします。

天一