魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

抒情詩「からだが欲しい」他一篇

ヘンレク・オルレク「山上の垂訓」(部分)ウィキメディア・コモンズより。

からだが欲しい

からだが欲しい
欲しいからだはかならず店に飾られ
売れているうるさい店の
 おもちゃ売り場のガラスの中に飾られ
さらさらと鍵を鳴らして
 店内に忍び込む人影は誰
独占したいお宝
独占したい悪いちから
咲いたばかりの花のような
それはきれいな
 それはきれいな
からだが欲しい

からだが欲しい
欲しいからだはかならず地下に隠され
はるかなる地下の金庫の
 閉ざされたとびらのうらに隠され
さらさらと鍵を鳴らして
 階段を降りてゆく人影は誰
撮影したい宝石
撮影したい恋の化石
死んだばかりの処女のような
それはきれいな
 それはきれいな
からだが欲しい

神を愛するわたしたち

神を愛するわたしたち
 手に手を取って旅に
 ともに学んだわたしたち
愛を究めたお友だち
ともに聖書をひもといた
 宝の山にときめいた
 愛を学んだわたしたち
愛を広める旅に

今日も世のため人のため
 奉仕するのがわが務め
 道行く人の足を止め
神の教えを言い広め
時に聖書をひもといて
 宝の山を拝ませて
 写真に撮った愛の夢
ばらまいたのは金のため

だからすべてを差し出して
 永遠とわの命をさずかって
 愛する者は死にません
売れば売るほど飢えません
たとえばここに足を止め
 道に迷っているむすめ
 その耳もとにささやいた
「ほら 天国は近づいた」

悔い改めて お嬢さん
 愛の歴史は負の遺産
 だから聖書を閉じないで
宝の山を拝ませて
愛を学んだこのむすめ
 神の国へと昇り詰め
 天にはばたくわたしたち
天にも昇るいい気持ち