魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

BAND-MAIDの「I'll」

2023年4月21日の神戸公演。公式インスタグラムより。

またしても「from now on」

先日、BAND-MAIDのギタリストが、バンドの解散もしくはバンドからの脱退を示唆するツイートを投稿したということで、ネット掲示板(国内の)が一時ざわついていたそうですね。私はそのツイート自体は確認していないので、以下は臆測に基づく個人的感想ですが、もっともなことだと思います。あくまで可能性の話ですが、近々BAND-MAIDの解散もしくは無期限活動休止が発表される可能性は、ゼロではないでしょうね。
私の唯一の論拠は、あのインスト曲「from now on」です。あの曲は本当に凄い。凄すぎる。ほとんど馬鹿げていると言いたいくらいだ。わが国の今の大衆音楽の一般的水準をはるかに超えている。私はただ単に演奏の難易度を言っているのではない。雄大な楽想劇的な展開格調高い表現、そのすべてをひっくるめて言っているのです。
こうした芸術作品アートに接する場合、われわれはその美しさに魅せられるあまり、そのかげにひそむ創造者リエータ心の痛みといったものを見落としがちです。私にはこの楽曲から、ギタリストのSOSが、じかに聴こえてくるような気がする。彼女の魂は助けを呼んでいる。彼女のギターは、絶え間ない拷問による苦痛からの解放を求めて、泣き叫んでいる。そのように思われてなりません。
下もまた複数のファンカムをつなぎ合わせて作られたビデオ。


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「I'll」の歌詞

AIが人間のふりをしてデタラメを書いていると思われると困るので断っておきますが、私は一応人間で、BAND-MAIDのアルバム『Unleash』を聴きながらこれを書いている。この曲(「from now on」)が書かれた背景に、コロナ禍によるフラストレーションがあったことは確かですが、ただコロナによる規制が終わって、ライブが解禁されたからといって、それですぐさまストレスなく、リラックスして活動に専念できるわけでもないでしょう。
BAND-MAIDのファンは、国内外を問わず、彼女たちがもっとメジャーに、もっとビッグになることを願っている。このファンの期待そのものが大きな重圧であり、ストレス源です。さらにツアーによるストレスも半端ない。アーティストというものは、アーティストというくらいですから、人一倍繊細な神経を持っている。それだけにツアー中に感じるストレスもわれわれ凡人の想像以上なのです。これが男性アーティストなら、大酒をあおったり、麻薬でラリったり、女の子を連れ込んだりしてストレスを発散する。レッド・ツェッペリンの器物損壊は有名だし、ロッド・スチュアートはスタッフをぶん殴っていたと聞きます。こうした行為はむろん許されるものではないが、男性ならまだしも「いかにもロックスターらしい」という印象を与え得るでしょう。だが女性となるとどうか。それも日本人女性となると、今の日本国内の陰湿な雰囲気から考えて、たちまち袋だたきというか、バッシングの嵐にさらされることは間違いない。

お利口に行儀よく
好機うかがい待つ

これはBAND-MAIDの「I'll」という曲の歌詞からの引用ですが。

不条理な運命の前
無力すぎる僕ら
きっと黒か白より
何を信じられるか
ああ何も知らない
あの頃に戻りたい
夢見てばっか うんざりね

いいですね、この歌詞。ほれぼれします。
おわかりいただけますでしょうか。私はBAND-MAIDのコンセプトや、コスチュームや、メンバーのキャラクター設定などを言っているのではない。ではなくて、彼女たちのあまりにもストイックな、ひたむきすぎる音楽との向き合い方そのものに無理があると言っているのです。むろん商売ですから、マネージメント側の圧力というものもあるでしょうが、小鳩ミクは「世界征服」の旗を下ろさないし、何よりメンバー5人が5人とも、

現状に満足なんじゃ
それまでじゃない?

という攻めのスタンスを崩さない。だからこそBAND-MAIDの音楽はこれまで驚異的な「進化」を遂げてきたわけですが、私見では、こんなことがいつまでも続くとはとても思えない。いつかは破綻するはずです。

約束された未来なんてない

それはタイマーの壊れた時限爆弾のようなものです。その時がいつ来るのかは、まだ誰にもわからない。だがファンの目には見えないものが、メンバーの目には映っているということはあり得ると思います。

残された時間は
もうあとどれくらい?


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