讃美歌(Hymn)*1
夜明けにも 真昼にも 夕暮れにも
わが歌声に耳を傾けて下さったマリア様
よろこびの時も悲しみの時も 幸せな日々も不幸せな日々も
神様のお母様 わがかたわらを離れ給うな
青春の日々が輝かしく流れ
青空に雲ひとつ無かった時代
あなたの御恵みは わが魂を絶えず励まし
あなたへ またあなたの御国へと導いて下さいました
今「運命」の嵐が雨雲を伴って
わが過去とわが現在とを暗く覆う時
せめてあなたとあなたの御国への希望で
わが未来を明るくお照らし下さい
無題(Stanzas)*2
「われわれはいかにしばしば時を忘れて
人里離れた自然の広大な王国を愛したことか
大森林 大荒野 大山脈 ことごとくわれわれ人間の
知的営みに返事を返す大自然の高らかな声」――バイロン「島」
Ⅰ
私が子どもの頃知っていたある男は 生まれた時から
太陽光が好きで 自然の美を愛でいつくしみ
大地もまた彼に対してひそかに好意を寄せていた
彼の命の炎は天翔る天体によって点火され
そこから彼は 彼の魂にふさわしい
強烈な光芒を導き出していた
ところが彼の魂は みずからが炎々と燃えているさなかにも
それが何の影響によるものなのかを知らないのだった
Ⅱ
空にかかる月の光が
私に束の間の幻を見させるのか
確かに月光は古代の賢者たちが
伝えるよりももっと強い支配力に満ちていると
私はなかば信ずる――あるいはそれは
夏草に置く夜露のごとく
覚醒の呪文とともに われわれの上を通り過ぎる
いまだ形を成さない思想の実質に過ぎないのだろうか
Ⅲ
それがわれわれの上を通り過ぎる時 目は対象に気がつき
今の今まで無関心のうちに眠っていた感涙が
まぶたへと込み上げるのだろうか
とはいえその対象は
神秘である必要はない むしろありふれたもの
いつもわれわれが目にしているもの ただその時にだけ
切れた弦のひびきのごとき異音によって
われわれを覚醒させる――それは象徴 そして暗号
Ⅳ
それは『他界』にこそ存在するであろうものの
象徴そして暗号 『神』が美を通して罰当たりどもだけに
賜わるものなのだ それがなければ
彼らは生きていられず 地獄に堕ちるしかなかっただろう
その源は彼らの心臓の躍動であり
刻苦精励する魂の高揚感だ とはいえ
それは「信仰」を通じてではない 彼らは蛮勇をふるって
「信仰」をその玉座より追い落すのだ
内奥の感情を王冠として戴きながら