魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

「姫物語」ほか六篇

姫物語

それは茂った草の中で
風がしずかにひびきをひるがえすころ
姫はふたたびささやきかける
ふたたび耳打ちをする
それはしずかに風が呼ぶころ
それはしずかに夜風が呼びかけるころ
姫はふたたび子どもとなって
ふたたび庭を見つめる

それはしずかに風が呼ぶので
それはしずかに夜風が呼びかけるので
それで子どもは窓をひらいて
窓をひらいて庭を見ていた
庭の茂った草の中では
風がしずかにひびきをひるがえしていて
そのかげに 心乱れて
さざなみがわなないていた

それで茂った草の中で
風がしずかにひびきをひるがえすとき
姫はかならず心乱れて
かならずさざなみを見る
それはしずかに風が呼ぶころ
それはしずかに夜風が呼びかけるころ
姫はふたたびささやきかける
ふたたび耳打ちをする

姫のデッサン

姫は見つめなければならなくて
姫が秘めているものの輝きを見つめなければならなくて
それでお城のうしろに白いさざなみが咲き
咲いたのはさざなみでした
姫は見つめなければならなくて
それでお城のうしろに白いさざなみが咲き
それで姫は秘めているものを見て
それはかぎりない輝きでした

姫は見つめなければならなくて
姫が秘めている夜のよろこびを見つめなければならなくて
それでお城のうしろに白いさざなみが立ち
さざなみがならぶのでした
姫は見つめなければならなくて
それでお城のうしろに夜のよろこびの波がならび
それで姫は秘めているものを見て
それはわからないわななきでした

鏡に映る遊び

花のように咲いたむすめ
 咲いたむすめとむすめ
鏡に映る遊び
鏡に映る戯れ
みずからを見つめるむすめ
 みずからのからだの輝きに酔う
 恥じらう花のように
咲いたむすめとむすめ

花のように笑うむすめ
 笑うむすめとむすめ
鏡に映る遊び
鏡に映る戯れ
みずからを見せびらかして
 見られるよろこびに酔い痴れながら
王妃のように笑うむすめ
 笑うむすめとむすめ

指の戯れ

たおやかな指の戯れ
弱々しいよろこびを呼びさます指の遊び
もてあそぶ薔薇の花びら
澄み切った水面にさざなみが咲く

もてあそぶ薔薇の花びら
ふたたび みたび触れるくちびる
千金に値するKISS
それはかよわいわたしたちの 淡いよろこびの日々

分子のように

分子のようにおとなしく
 分母の上に乗ってみる
聖母のような分母さま
 お前は悪い
 お前を割るよ
奇数のようにKISSをする
偶数よりも割り切れる
 お前は叫ぶ
 お前を裂くよ
分母の上で
 私は咲いた
 分子のように
私は散った

蛇の交尾

お城で暮らすひまなわたし
わたしを慕ううぶなむすめ
交尾する蛇のよろこび
そんなむすめにかならず教えてあげる
わたしを慕うばかなむすめ
そんなむすめにかならずほうびをあげる
交尾する蛇のよろこび
それは草むらに燦爛と産卵される

遊ぶ蛇

おぼえたばかりの
新しい遊びはとても楽しい遊び
それはうまれてはじめて
草むらのかげに隠れてする遊び
新しい遊びは蛇の遊び
新しいよろこびは蛇のよろこび
うまれてはじめて
にこにこ笑ううぶなむすめとむすめ
隠れて遊ぶよろこび
草むらのかげに隠れてささやきかわす
恋するようなよろこび
げらげら笑う悪いわたし
むすめとむすめのそれは楽しい遊び
むすめを結ぶよろこび