魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

CARAMEL CANDiDの「ヘッドライト花火」

「夜の踏切」。photo-ac.comより。


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私の死んだ母が時折話してくれたのですが、彼女は若い頃、まだ幼い私と私の妹の手を引いて、ちょうどこのビデオに出てくる少女のように、電車の踏切の前に立ちつくしたことが何度かあったそうです。
今でも毎日のように「人身事故」で電車が止まりますね。そのたびに駅には「人身事故の影響によりダイヤが大幅に乱れましたことを、心よりお詫び申し上げます」との貼り紙が出る。それを見るたびに私は腹が立つ。「何が『心よりお詫び』だ。心にもないことを書くな」と腹立たしく思うわけです。電車に飛び込んだ奴が悪いので、自分たちは何も悪くない。むしろ自分たちの方が被害者なのだ。だから死んだ奴の遺族には、今後たっぷりと損害賠償を請求させてもらうつもりだ。正直にそう書けばいいではないか。
ところで、神聖かまってちゃんの「るるちゃんの自殺配信」という歌の歌詞に、

中央線に飛び込んで
はた迷惑な奴だと言われて
いつだってそこにいたんだ
少女はさっさと死んじゃった

とある通り、こういうことをする人は、何度かリハーサルを行なうのが常であります。それは空想の中で行なう場合もあるし、上のビデオに出てくる少女のように、実際に踏切の前に立ってみることもある。飛び込んだらどんなに怖いだろうか、痛いだろうか――そんなことを何度も何度も考えるのです。よく「衝動的に飛び込んだ」と言われますが、衝動的に飛び込むことができる人は、少しのきっかけで飛び込む用意ができている人です。困ったことに、自分がそんな状態にあることが、自分自身でもわかっていない人もいるのです。
ここまで来ると、もはや絶体絶命です。その人が死を免れるかどうかは、確率の問題でしかありません。
このCARAMEL CANDiDというバンドは、絶望感をさりげなく表現するのが巧みですね。さぞ苦しかろうと、胸をえぐられる思いがします。