
ほら今だ 時が来た ゆらゆらゆれる茎の上
花という花はことごとく 香炉のごとく くゆり立つ
音も薫りも 夕風の中で くるくる輪を描き
物憂いワルツ つらいめまいだ
花という花はことごとく 香炉のごとく くゆり立ち
傷ついた心のように 声をふるわすヴァイオリン
物憂いワルツ つらいめまいだ
空は悲しく美しく 巨大な聖餐台のよう
傷ついた心のように――広大にして真っ暗な
「虚空」を憎む心のように 声をふるわすヴァイオリン
空は悲しく美しく 巨大な聖餐台のよう
いま太陽は みずからの血のかたまりに溺れ死ぬ
広大にして真っ暗な「虚空」を憎む 優しい心は
輝かしい過去のかけらを 欠かさず集め かき集め
いま太陽は みずからの血のかたまりに溺れ死ぬ
そうして私の胸には あなたの思い出が ご聖体のように光り輝いている
*『悪の華』第二版47。原文はこちら。