魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

リェーナ・カーチナ vs. t.A.T.u.「t.A.T.u. vs. 連合王国」篇

イギリス公演をドタキャン

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子分ども(t.A.T.u.)を引き連れて歩くイワン・シャポヴァロフ。www.tumblr.comより。

前回の記事に書いた通り、t.A.T.u.英語圏でのデビューシングル「オール・ザ・シングス・シー・セッド」は2003年2月のほぼ1ヶ月間にわたってイギリスのシングルチャートを制覇。それにともない、同年5月にはイギリスでは初めてのt.A.T.u.のコンサートが実現する運びとなりました。それに乗じて売り上げ増を狙ったイギリスの新聞雑誌はこぞってt.A.T.u.を取り上げ、中にはまともな記事もないことはなかったが、ほとんどがt.A.T.u.に対する誹謗中傷であったことは、t.A.T.u.側からことさら精力的に醜聞のネタを流していたことからして当然の成り行きです。かような国家的規模のネガティブ・キャンペーンの甲斐があってか、t.A.T.u.のコンサートのチケットはさっぱり売れなかった。4月の中旬にはチケットが約30%しか売れておらず、事態を重く見たイギリスのプロモーターたちがモスクワへ飛んでイワン・シャポヴァロフと緊急会合を行なったという報道がなされましたが、4月29日になって突然コンサート中止の速報が出た際には、チケットの売れ行きは実際にはもっと悪かったことが明らかになりました。以下は2003年4月29日付の『ザ・サン』紙の記事からの抄訳。



バイバイ、t.A.T.u.

わが国の親御さんたちは子どもたちがわいせつな見世物を観に行くことを欲しない。ゆえに偽レズビアンのお笑いコンビはチケットがさっぱり売れず、短期的な英国ツアーを断念する見通しだ。ロシアのポップデュオは今週は訪英をせず、t.A.T.u.のマネージメントサイドはユーリャ・ヴォルコヴァの声が出ないからだと主張するだろうと私は聞かされた。彼女たち(レズビアンだと言い張っているが、それは金儲けのための卑劣な策略だろうと見られている)はその代わりに休養を取って、来月ラトビアで開催されるユーロヴィジョン・ソング・コンテストへの出演に備えるという。
しかし騙されてはいけない。実はわが国で三日間行われる予定のコンサートのチケットの売れ行きは惨憺たるありさまで、プロモーターたちは300,000ユーロの大損害に直面しているのである。t.A.T.u.のチケットは12,000人が収容できるウェンブリー・アリーナでの(5月2日と6日の)二晩について合計2,000枚未満、10,000席を擁するマンチェスター・イブニング・ニュース・アリーナでの(5月4日の)ギグについてはたったの1,000枚しか売れていない。
そうしてそれはすべて親御さんたちが強権を発動した結果だ。子どもたちがシングル「オール・ザ・シングズ・シー・セッド」を買ってくる一方で、全国のママたちやパパたちは彼らに「レズビアン・ショー」を観に行くことを厳禁したのである。売れた少数のチケットはおそらく、年配の変態男性たち(old men in dirty Macs)の手に渡ったのであろう。心配した親御さんたちは会場外でも抗議活動を行なっており、他の親御さんたちに対してお子さんたちをユーリャとリェーナ・カーチナとの下品なじゃれ合いに触れさせないよう呼びかけている。
昨夜、t.A.T.u.がツアーを投げ出したとの告発があった。レコード会社「ポリドール」のイギリス支店はマネージャーのイワン・シャポヴァロフと連絡がつかず、現在わが国にいる人間で事態を把握している者は一人もいない。ある消息筋が私に言った。「今回の日程(の変動)はハプニングではない。すべてが狂っていて、完全なるカオスだ。当初、ウェンブリー・アリーナが決して応じることのできない法外な要求の数々があった。t.A.T.u.のマネージメントサイドは学校の制服を着た300人の少女たちをステージに上げたいと言ってきたのだ。そんなことは健康と安全の両面で受け入れられるわけがない。それから奴らはずっと、プロモーターたちからレコード会社にいたるまで、全員を振り回してきた。今や奴らは事実上t.A.T.u.は訪英しないと言っている。そしてt.A.T.u.のマネージメントサイドにとって、ユーロヴィジョンに勝つことが、イギリスツアーよりもはるかに重要なのは明らかだ。あのコンテストはロシアにとって国家的関心事だからだ。今回はツアー全体の日程管理がまったくなされていなかった。わが国のごく少数の若いファンたちはがっかりすることになるだろう」
スポークスマンの一人が言った「われわれが知る限り、今の時点ではまだキャンセルと決まったわけではない」。しかしt.A.T.u.は来月、ニューシングル「ノット・ゴナ・ゲット・アス(Not Gonna Get Us)」のリリースをも強行しようとしているのである。


ところが更に驚くべきことには、この時t.A.T.u.は既にイギリスに向かっており、翌30日にはロンドンのヒースロー空港にひょっこり姿を現したのです。テレビ局のレポーターたちはマイク片手に「何故歌わないのか?」と詰め寄りますが、彼女たちは「知らない」と言って笑うだけ。激怒したプロモーターたちはt.A.T.u.を相手取って300,000ポンドの損害賠償を求める訴訟を起こしました。

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2003年4月30日、ヒースロー空港に降り立ったイワン・シャポヴァロフ(左)とユーリャ・ヴォルコヴァ。eng.tatysite.netより。

「ノット・ゴナ・ゲット・アス(Not Gonna Get Us)」の歌詞

t.A.T.u.のデビューアルバムからのセカンドシングル「ノット・ゴナ・ゲット・アス」は、英語圏では2003年5月5日にリリースされました。ちなみに歌詞は日本語にするとこんな感じ。

出発する前に 約束をしましょう
お互いに決して嘘をつかないと
私たちは逃げる この夜でさえも
私たちの行く手を阻むことはできない

あとでたくさん笑って 語り合いましょう
雲のかなた 山々を越えたところで
ひと気のない道を 私たちは突っ走る
滑走路を照らす光をめざして

(コーラス)
私たちのこの気持ち もう誰にも止められない
私たちは捕まらない
私たちは捕まらない

必要最小限のものだけを携えて
夜の暗闇は私たちの守護天使
誰もいない十字路を 私たちは駆け抜ける
元気を出して きっと逃げ切れるから

あなたを愛している いつまでも変わらず
二人がいれば他には何も要らない
あの人たちは私たちのことをわかってくれない
だからもう戻らない…

(コーラス くりかえし)

おそらく2003年のイギリスツアーでのリハーサル映像。2018年3月公開。
t.A.T.u - Not Gonna Get Us (Rehearsal)

リェーナ・カーチナ、ライブ @ Avtoradio(モスクワのラジオ局)。2018年8月公開。
🅰️ Лена Катина - Нас Не Догонят (LIVE @ Авторадио)