「夢の共演」どころではない?
ザ・ウォーニングは日本ではまだほとんど知られておりません。来日自体は大々的に報じられてはいるものの、「メキシコの人気バンド」というだけで、その作風とか人気の秘密とかに関する記事は、日本ではまだほとんど見当たりませんね。とはいえ彼女たちは海外では熱心なファンに恵まれており、またそのファンたちの頭の中では、前にも書いた通り、BAND-MAIDのイメージとセットになっていることが多い。
そんなファンたちの間でちょっとした騒ぎになったのが、先日のザ・ウォーニングの行動です。私が前回の記事を書いた6月初めごろ、彼女たちは東京にひょっこり現れて、しかもその後まもなくBAND-MAIDと合流したことが明らかになった。あたかも彼女たちは自発的にコラボしているように見える。どうなってんの?何が始まろうとしているのだ?確かに単なる「ごあいさつ」にしては念が入りすぎているようで、ひょっとするとコラボ曲の制作などの魂胆があるのかも知れません。ただの「夢の共演」では済まないかも知れませんね。
自己嫌悪の塊か?
ザ・ウォーニングの曲の歌詞について、すでに何度か書いていますが、もう少し書いておこうと思います。やはりここを押さえておかないと、彼女たちの曲のドラマティックな構成が理解できないと思う。
K-POPの影響だか何だか知りませんが、日本人は「ガールズバンド」と聞くと、すぐに「アイドルグループ」みたいなものを思い浮かべる。ちなみにこの「ガールズバンド」なる言葉は差別用語だと思っている人もいるかも知れないが、いつだったかSCANDALのインタビュー記事を読んでいて、その中でメンバーの一人が「私たちはずっと『ガールズバンド』として頑張ってきたし、『ガールズバンド』と呼ばれることに誇りを持っている」と言っているのを読んで「なるほど」と思ったので、この記事でも「ガールズバンド」で通します。
で、この「ザ・ウォーニング」というメキシコの三人組の「ガールズバンド」ですが、もろもろの動画を見ればおわかりの通り、三人とも若いし、美人だし、パフォーマンスなど元気いっぱいで、ボケーと見ている分には微笑ましい限りですが、ひとたびその歌詞に耳を傾けてみれば、驚くほどネガティヴでペシミスティックで悲劇的で、「何じゃコイツらは?自己嫌悪の塊か?」とアゼンとさせられるのです。この見てくれと中身のギャップというかコントラストは、まさにトラウマ級で、何か悪い夢でも見ている気がするくらいです。
Lyrics Layersというサイトから、ザ・ウォーニングの歌詞に関する文を以下に引用しておきます。たぶんAIが書いたものでしょうが、ご参考までに。
ザ・ウォーニングの歌詞は、激しい感情体験を掘り下げることが多い。人間関係における裏切り、心の傷に負けまいとする苦しみ、復讐への欲望などのテーマを探求している。また彼女たちの曲は、内なる悪魔との戦いや深い孤独感にも触れており、同じような苦境に直面する多くのリスナーたちの共感を呼んでいる。
「ディサイプル」の歌詞
これまでにご紹介してきた「チョーク(Choke)」も「エヴォルヴ(Evolve)」も、ザ・ウォーニングの代表的なナンバーですし、前回ご紹介した「オートマティック・サン(Automatic Sun)」もまた、新曲ではありますが、彼女たちの代表作の一つとなりつつある。もう一つ、下の「ディサイプル(Desciple)」という曲も、いかにも彼女たちらしい華やかなナンバーなので、ご紹介しておきましょう。これもおそらく来日公演で披露されると思います。歌詞はこんな感じ。のっけからして物騒です。
太陽は君の敵だ
世界はまだ終わらないと知っているか?
それは新しく始まるのだ
だが不信心者どもはまだ気づかないふりをしている
太陽は君の敵だ
君は自分の悪徳から目をそむけたがる
むしろ悪徳を受け入れたまえ
そして新しい時代の危機に身をさらすのだ
おお 待ちに待った時が来た
おお 修行中の門下生よ
(コーラス)
体制をぶっ壊せ!
あの男を殺せ!
彼らの手から権力を剥奪せよ!
スクリーンを見つめる君の目は
よろこびのあまり血を流すことだろう
君は出てはならない
その空間の内部から――
太陽は私の敵だ
明日が無いかのような惨めさはもうたくさんだ
皆で共有しよう
この人生が余生ではないことを示すのだ
おお 待ちに待った時が来た
おお 修行中の門下生よ
(コーラス くりかえし)
君は出てはならない
その空間の内部から――
君は藁にもすがる思いで
愛という言い訳を当てにしている
太陽が消えた世界では
憎しみこそが常に良き友となることだろう
おお わが声を聴け
おお 不信心者どもが逃げて行く
おお 待ちに待った時が来たのだ
おお 修行中の門下生よ
(コーラス くりかえし)
君はとどまるがいい
無知の空間の内部に!