魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

DOLL PARTSとジャックス

DOLL PARTSの公式ホームページより。

DOLL PARTSの「降り止まぬこの雨に折れた傘をさして」

下の楽曲は、ライブではだいぶ前から演奏されていたものですが、このたびようやく公式MVが公開されました。


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この「DOLL PARTS」というバンド(ギターとベースはメンバーが固定していないようなので、実質ヴォーカルの女の子とドラムの男の子の二人組と見られる)の他の楽曲と同様、古風な形式による佳い楽曲で、聴いているといろいろなことが心に浮かびます。
何年か前、ある高校のブラスバンド部の発表会を見に行ったことがあります。素晴らしくレベルの高い演奏で、それはそれでよかったのですが、演目がすべて昭和の歌謡曲ばかりでした。おそらく指導している先生の趣味による選曲でしょうが、聴衆(おそらくほとんどが生徒の保護者たち)がまた同世代の人たちだったようで、会場内は異常な盛り上がりを見せておりました。ただ約一名、私だけ(かどうか知らんが)が苦り切っていたのは、自分たちが知りもしない、別に佳いとも思わないであろう楽曲を、あえて演奏させられている生徒たちの心境はいかなるものか、と思いやられたからです。
価値のないものはさっさと飽きられて、捨てられて、忘れ去られるがよい。私はそう思います。「××の記憶を風化させてはならない!」みたいな言い回しがしばしば安易に使用されますが、忘れてはならないことが存在するのはわかりますが、記憶の風化という現象があるからこそ、記憶の価値が増すのです。記憶が一切風化しない世界を想像してごらんなさい。誰しもぞっとするでしょう(この件はまた別の記事で、あらためて書きます)。
ただ本当に価値のあるものは、世代を超えて継承されてゆく。上の「DOLL PARTS」のスタイルもそうだと思います。ちなみにこの「DOLL PARTS」については、デビューミニアルバム(『THE FIRST TASTE OF ME』7曲入り)はすでに持っていますが、そろそろフルアルバムが出るでしょうか。

ジャックスの「ロール・オーヴァー・ゆらの助」


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上の「FAKE」という曲を聴いていて、何となく思い出したのが下のジャックスの「ロール・オーヴァー・ゆらの助」という、1969年リリースのヒット曲――ではなくて、全然ヒットしなかったらしいが、個人的には印象に残っている曲です。何で思い出したのか、自分でもわかりませんが、たぶん何となく反体制的というか、プロテストソングっぽいところが似ているのでしょうか。
ジャックスについて、詳しいことはウィキペディアの記事などをご覧ください。私がジャックスを知ったのは、確か高石ともやがパーソナリティを務めていたラジオの深夜番組を通じてだったと記憶しますが、その頃にはジャックスはとっくの昔に解散していて、東芝EMIのレコードカタログでジャックスを探してもデビューアルバムの『ジャックスの世界』が掲載されているだけ(「ロール・オーヴァー・ゆらの助」が収録されているのは解散後にリリースされたセカンドアルバム『ジャックスの奇蹟』)で、途方に暮れた記憶があります。今は便利になったものです。
これは貴重なライブ音源。


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今でもイケる、と私は思いますが、いかがでしょうか。
ちなみにこの曲は浜口庫之助を真っ正面からこき下ろした曲だそうですが、こき下ろされようが、張り倒されようが、浜口庫之助が偉大なソングライターであることに変わりはない。島倉千代子が歌ってヒットした「愛のさざなみ」は、未だに時折私の脳裏をかすめる名曲です。


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この記事、前半で昭和歌謡をけなしておきながら、後半で懐メロ大会となってしまい、申し訳ありません。

THE FIRST TASTE OF ME

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ジャックスの奇蹟

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