魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

(日本語訳)ボードレール「交信(Correspondances)」

ガイ・ヘッド「ナルシスから逃れるエコー」ウィキメディア・コモンズより。

「自然」とは一神殿だ 生きている石の柱が
時として発する人語 それは意味不明の妄語
象徴の森を介して 人はこの境地に到り
親しみをこめた目をして 森もまた人を見守る

夜にも似 光にも似た壮大な統一体へ
それでいて暗澹とした 深遠な統一体へ
流れこむ 長く尾を引く はるかなる反響エコーのごとく
色彩や音や匂いは呼び交わし 返事をし合う

いくつかの匂いがあって 柔肌のごとく新鮮
オーボエのごとく優しく 草原のごとく緑だ
――他のものは腐った匂い 濃厚な 奢れる匂い

乳香や安息香や龍涎りゅうぜん麝香じゃこうのごとく
限りなきものが有する 限りなき拡散力で
精神と諸感覚とのよろこびの極みをうた


*『悪の華』第二版4。原文はこちら