
「自然」とは一神殿だ 生きている石の柱が
時として発する人語 それは意味不明の妄語
象徴の森を介して 人はこの境地に到り
親しみをこめた目をして 森もまた人を見守る
夜にも似 光にも似た壮大な統一体へ
それでいて暗澹とした 深遠な統一体へ
流れこむ 長く尾を引く はるかなる反響のごとく
色彩や音や匂いは呼び交わし 返事をし合う
いくつかの匂いがあって 柔肌のごとく新鮮
オーボエのごとく優しく 草原のごとく緑だ
――他のものは腐った匂い 濃厚な 奢れる匂い
乳香や安息香や龍涎や麝香のごとく
限りなきものが有する 限りなき拡散力で
精神と諸感覚とのよろこびの極みを謳う
*『悪の華』第二版4。原文はこちら。