この者ら 予知能力に恵まれた 目つき鋭い
一行は 昨日そろって旅に出た 幼い子らを
負っている女もいれば 空腹を訴える子に
爆乳が常備しているお宝をやる母もいる
男らは 女子どもが寄り添って眠る荷馬車の
かたわらを 光り輝く槍剣を担いで歩く
大空の上をさまようまなざしは 消えた幻想
幸せの名残を惜しむ気持ちから 重く険しい
こおろぎは 砂に隠れた住み家から 旅人たちが
通過するさまを眺めて 声量を倍増させる
慈しむ女神「大地」は まだ闇に包まれている
ふるさとへ 今ひとすじにひらけゆく道を見つめる
さすらいのこの人々の目の前に 緑地を広げ
岩場には清水を流し 砂漠には花を咲かせる
*『悪の華』13。原文はこちら。女神「大地」についてはこちらの記事をご参照ください。