魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

(日本語訳)ランボー「美的存在(Being beauteous)」

ペリーの来航後、アメリカの侵略に備えて品川台場に配備されたという国産の青銅製カノン砲。ウィキメディア・コモンズより。

吹雪を前に、高身長の「美的存在」。死の叫びと、呻吟の歌のサイクルとが、この美しい肉体を起き上がらせ、繰り広げ、お化けのごとく動悸させる。魅せるからだは真っ赤で真っ黒な傷口を見せびらかす。乱離骨灰らりこっぱいの上.、この「幻覚」を取り巻いて、生きている者だけが持つ色艶いろつやが、深まり、踊り、ただよう。動悸は彼女が身を起こすにつれてとどろき、これらの効果に狂喜した趣向は、俺たちのはるかうしろから、俺たちの美の聖母にむかってこの世が投げる、死の叫びと喘鳴ぜんめいの音楽とを満喫する。――彼女は一歩下がって、すっくと立つ。ほら、俺たち骸骨は、新しい肉体を、恋する肉体を身にまとって、生き返った。
ああ灰色の顔よ、獣毛のワッペンよ、水晶の両腕よ。軽い空気と木々との肉弾戦をかいくぐり、俺が至近距離から砲弾を浴びなければならないカノン砲よ。


*ラコスト版『イリュミナシオン』6。原文はこちら