魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

クリスティナ・ロセッティ「教戒(A Testimony)」

笑いは虚しいと私は言った
 よろこびは無益だとも私は言った
 それで私は本を見つけて書き込みをした
快適だろうが不快だろうが
健康だろうが病気だろうが
太陽のもとにおいて 一切は空であると

空虚な影の中を歩きながら
 意味もなく騒ぎ立てるのが人間である
 ひとたび起きたことはふたたび起こる
流水は大海を満たすことなく
隠された源へと還りゆくだけ
風またそのめぐるところへ還る

われわれの財産は錆と虫に食われる
 あるいは押し入った盗人に盗まれ あるいは
 財産自身が羽根を生やして飛び去ってゆく
ある者が物を食い 楽しんでいた
ところが彼はみずからの魂が
その夜のうちに奪い取られることを知らなかった

一切は空しいと私は言った
 空の空なるかな 空の空なり
 富者は滅びる 貧者も滅ぶ
蛆虫は美味そうに死肉を喰らう
何を欲するとも これだけは忘れてはならない
最後には一切が塵と化すのだ

私たちは砂上に楼閣を建て
 内装も外装もぴかぴかにする
 けれども天候の悪化とともに
風雨に打たれれば 持ちこたえることは出来ない
それは滅びる たちどころにひっくり返る
土台そのものがしっかりしていないのだから

人はみな若葉のごとく萌え出で
 枯葉のごとく朽ち果ててゆく
 人はみな移ろいやすい影のように
束の間に逝き 跡形も残さず消える
でも人間は 期待と不安を胸に
最期まで未来を想う おお愚かな人間よ

眼はどんなに美しいものを見ても満足しない
 耳はどんなにいい音を聴いても もっといい音を欲しがる
 なのにわれわれはひたすら種蒔き 築き
お金を使って領土の拡大を図る
お金をかき集め 心配事をかき集め
それが誰の手に渡るのか知りもせずに

どうしてわれわれは朝早く起き
 夜は遅くまで眠らないのか
 労働は不快である ご立派な志も
長くは続かない 人は嘘をあてにしている
われわれは吹く風を耕している
手に入る収穫はつむじ風だけ

何ひとつ持たぬ者は幸いである
 多くを持つ者は一切を失う
 祖先は逝った われわれも逝く
われわれの子孫もまた同じ道をたどる
顔触れは変わり 世代は変わり
メンバー一新 往来が続く

大地は死肉を喰らってふとる
 人肉を喰らって飽くことがない
 だから酒は醸され 油は漉され
大地の恵みは測り知れない
だからこそ草木は青く また だからこそ
食いしん坊の大樹は美しいのだ

だから娘たちの歌声は消え
 若い男たちの心は淋しい
 だから種蒔きはつらく苦しく
収穫は悲しくやるせないのだ
貴きも賤しきも 大なるも小なるも
得るところなく果てるのがこの世の定め

かつてエルサレムに一人の王が在った
 彼はこの世でもっとも聡明な人物だった
 生まれながらにしてあらゆる富に恵まれ
快楽をほしいままにして暮らした
そうしてすべてを試したあとで
彼は一切が空であると看破したのだった


訳者注:作者19歳の作。