一天一笑さんからレビューをいただきましたので掲載します。一天一笑さん、いつもありがとうございます。
eureka0313さま
『霧の城』岩井三四二・実業之日本社を読んで。
戦国時代、井伊直虎以外に、もう一人の女城主がいた、そして散った。
岐阜県出身の岩井三四二が、地元岩村城の女城主おつやの方の、武家の婚姻政策に翻弄されながらも誇り高く生きる姿を、クールで細やかな筆致で描く。
織田信秀の妹・信長の叔母のおつやの方は、岩村城主遠山左衛門尉影任に嫁ぐ(遠山の金さんのご先祖様?)。
夫の病死後、領民と遠山家を守るため、敵方武田家家臣秋山善右衛門と婚姻し、それによって岩村城を無血開城する。
よって織田家とは敵対関係となってしまう。
1575年長篠の戦に敗れて以降、統率の取れない武田家を信長が見逃すわけもなく、1570年の姉川の戦い後の浅井家滅亡小谷城落城が、設楽が原の戦い・岩村城の落城と置き換えて再現される(信長の総大将おびき出し作戦は、見事)。
前回ご紹介した『おくうたま』と共通する敗軍の将の家族を巡る物語でもある。
戦国時代の離合集散、織田家と武田家の鍔迫り合い(城の取り合い)に興味のある方にお薦めします。
書名の「霧の城」は、岩村城が現在の岐阜県恵那市岩村町にあり、標高が高く別名「霧ヶ城」と呼ばれていた事に由来するのではと推測しています(現在でも城跡あり)。
一天一笑