魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

岩井三四二『おくうたま』

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天一笑さんからレビューをいただきましたので掲載します。一天一笑さん、いつもありがとうございます。


eureka0313さま

『おくうたま』岩井三四二・光文社文庫を読んで。
この時代小説は、1553年から1582年頃の京都・北陸が主な舞台です。
落城寸前の小谷城から、城主浅井長政庶子・喜十郎是則が、乳兄弟の弥次郎と共に脱出し、疵医師(きずくすし)の田代瑞石に預けられる場面から始まる。
この容貌怪異な田代瑞石の変人・奇人ぶりは途轍もない(が医師として腕が立つ)、曲直瀬道三と同じ位に。
織田方の浅井残党狩りから逃れるため、田代瑞石は従軍医となり、喜十郎も浅井家再興の宿願を胸に秘め、従軍医見習いとして日々を生きていく。
瑞石を医療と人生の師匠としながらも、人生の選択の時期はやってくる(天下の趨勢が決まる前に浅井の名乗りを上げる時期が来る)。
武将として生きる決意をし奮闘するも宿願は果たせず、それどころか、乳兄弟の弥次郎まで、山崎の合戦で失ってしまう。
瀕死の弥次郎から、手渡された父浅井長政の印籠を開けた喜十郎は、もう一度人生の選択をする。
お家を再興し武将となるか、只の医師(外科医)になるか?
名手岩井三四二が明日への希望を紡ぐ。
人生の選択を思い描く方、戦国時代の医療に興味のある方にお薦めします。

天一