魔性の血

リズミカルで楽しい詩を投稿してまいります。

『一人の女が私の前に現れた』(ルネ・ヴィヴィアン)

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』第5章

それは手に入れたばかりの自由に酔い痴れていた二十一歳のころ、イオーネに伴われて訪れたヴァリーの家で、私は初恋の甘美きわまる胸の痛みを知った。青空と夕闇とのその日以来、友情は恋愛のかげに隠れ、私の白い妹イオーネの姿は遠景へとしりぞいた。私は…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』第4章

ジョン・コリア作「リリス」(1892年)。日本語版ウィキペディアより。 四月も末のある日、ヴァリーが受け取った手紙の紙面には、あまりにも繊細であまりにも不明瞭な文字が蛇行しており、それはあの官能的神秘主義者、あるいは神秘的官能主義者の筆跡に違い…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』第3章

ナタリー・クリフォード・バーネイ。フランシス・ベンジャミン・ジョンストン撮影。英語版ウィキペディアより。 少しずつ、日は暖かくなり、春の優しさが来た。ヴァリーの大好きな四月はその奇妙な笑顔と不思議な涙とをちらりと見せた。流れる時間は二人の相…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』第2章

ジョゼフ=シャルル・マルドリュス(Joseph-Charles Mardrus, 1868 - 1949)。ウィキペディア・コモンズより。 こめかみを霧雨に濡らしたまま、私はヴァリーのサロンに入った…鬼百合は巨大な花冠を広げ、そこから強烈な香気を発散させていた…ヴァリーはペル…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』第1章

ルネ・ヴィヴィアン。1905年ごろ。仏語版ウィキペディアより。 「今夜行きます…星が見たいの」私は急いでしたためた。青い洋ランの花々の房の垂れ下がっている向こう側に、こちらを冷やかに見つめているヴァリーの目があるような気がした。私はこの手紙に、…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』献辞と序文

レオナルド・ダ・ヴィンチ作『バプテスマのヨハネ』。1514年ごろ。ルーヴル美術館蔵。日本語版ウィキペディアの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の項より。 わが友H.L.C.B.へ 『蛇使い』、それは蛇たちから闇の知識を学んで知っている者であるが、彼はエフェベ…

ルネ・ヴィヴィアン作『一人の女が私の前に現れた』主な登場人物とあらすじ

『一人の女が私の前に現れた』初版本巻頭の献辞「わが友H. L. C. B. へ」。ウィキメディア・コモンズより。 ルネ・ヴィヴィアン(Renée Vivien/Pauline Mary Tarn, 1877-1909)のファンタジー小説『一人の女が私の前に現れた』('Une femme m'apparut', publ…